オルカンとS&P500は、インデックス投資を始めるときによく比較される商品です。「過去の成績がよいほうを選ぶべき?」「両方持てばもっと分散できる?」と迷うかたも多いのではないでしょうか。
わたしは、株式部分の中心としてeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンに投資しており、S&P500は併用していません。
理由は、オルカンが将来最も高いリターンになると予想しているからではありません。どの国が伸びるかを自分で当てにいかず、世界の株式へ広く投資しながら、管理をシンプルにして長く続けやすいと考えているからです。
この記事では、わたしがオルカンを選んだ理由、S&P500を併用していない理由、普通預金・個人向け国債との役割分担を整理します。
この記事でわかること
- わたしがオルカンを選んでいる4つの理由
- オルカンとS&P500を併用したとき、資産配分がどう変わるか
- 「オルカンだけ」と、資産全部を株式へ投資することの違い
- オルカンの弱点と、選ぶ前に確認したいこと
- ほかの商品が気になったときの確認手順
この記事はこんな人におすすめ
- オルカンへ投資している人が、なぜ選んだのか知りたい人
- オルカンとS&P500のどちらを選ぶか迷っている人
- 2つを併用すれば分散が増えるのか知りたい人
- オルカン1本でよいのか、ほかの商品も持つべきか迷っている人
- 商品を増やしすぎず、投資をシンプルに続けたい人
結論|株式部分はオルカン1本、守るお金は別に分けている
わたしがオルカンを選んでいる理由は、次の4つです。
- 今後伸びる国を自分で当てにいかなくてよい
- 日本を含む世界の株式へ1本で広く投資できる
- 株式部分の管理をシンプルにしやすい
- 商品選びより、入金と継続へ集中しやすい
S&P500が悪いと考えているわけではありません。ただし、オルカンにも米国株が含まれています。両方を持つと、オルカンだけの場合より米国株の比率が高くなるため、わたしは意図的に上乗せする必要を感じていません。
また、「オルカン1本」は株式部分の話です。資産全体を株式100%にしているわけではなく、守る円資産として普通預金と個人向け国債を持っています。
オルカンを全員の正解として勧める記事ではありません。投資する地域と集中度を理解し、自分が納得して続けられる方針を作るための一例として紹介します。

オルカンはどのような投資信託か
日本を含む先進国・新興国の株式へ投資する
オルカンは、日本を含む先進国・新興国の株式へ投資し、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動を目指す投資信託です。
MSCIの公式情報では、MSCI ACWIは先進国と新興国の大型株・中型株を対象とし、世界の投資可能な株式の約85%をカバーする指数と説明されています。
1本の投資信託を通して、多くの国と企業へ投資できます。ただし、世界中のすべての上場企業を保有する商品ではなく、小型株など対象外の範囲もあります。
全世界へ均等配分する商品ではない
「全世界株式」という名前から、各国へ同じ割合で投資するイメージを持つかもしれません。しかし、オルカンは国ごとの均等配分ではありません。
市場規模の大きい企業や国の影響を強く受けるため、現在は米国株が大きな割合を占めています。国や企業の比率は市場の変化に応じて動くので、特定時点の構成比を固定的な特徴とは考えないようにしています。
世界分散でも元本割れと為替変動はある
投資先が世界へ分散されていても、株式市場全体が下がれば、オルカンの基準価額も大きく下落する可能性があります。
また、原則として為替ヘッジを行わないため、株価だけでなく為替相場の影響も受けます。世界分散は損失を防ぐ仕組みではありません。
オルカンの商品ページで、最新の交付目論見書、月報、運用報告書を確認できます。
私がオルカンを選んでいる4つの理由
ここからは、商品の一般的な特徴ではなく、わたし自身がオルカンを選んでいる理由を説明します。

1.伸びる国を自分で当てにいかなくてよい
今後も米国が強いのか、新興国が伸びるのか、日本株が評価されるのかは、事前にはわかりません。
特定の国へ集中すると、その国が伸びたときの恩恵を大きく受けられる一方、予想が外れたときの影響も大きくなります。わたしは国ごとの勝ち負けを予想するより、世界の株式市場全体へ参加する考え方を選びました。
これは「世界経済は必ず成長する」という予言ではありません。どの国が成長を担うかを自分で固定しない、という選択です。
2.日本を含む世界の株式へ1本で広く投資できる
先進国株式、新興国株式、日本株を別々に買い、自分で比率を調整する方法もあります。ただし、商品が増えるほど、配分確認やリバランスの手間も増えます。
オルカンなら、1本で日本を含む先進国と新興国の株式へ投資できます。わたしにとっては、必要な分散範囲と管理の手軽さのバランスを取りやすい商品です。
3.株式部分の管理をシンプルにしやすい
保有商品が多いと、値動きがあるたびに「こちらを増やしたほうがよいのでは」「最近弱い商品は売るべきでは」と迷いやすくなります。
株式部分をオルカン中心にすると、確認する対象を絞れます。商品を増やしすぎるより、増やす資産・守る資産の役割がはっきりし、管理しやすいと感じています。
4.商品選びより入金と継続へ集中しやすい
資産形成では、商品選びだけで結果が決まるわけではありません。家計を黒字にすること、投資へ回せる金額を作ること、値下がり時にも方針を崩さず続けることも重要です。
投資先をシンプルにすると、新商品や短期のランキングを追い続ける時間を減らせます。わたしは、最も上がる商品を当てることより、入金と継続へ集中しやすいことを重視しています。
S&P500を併用していない理由
オルカンにも米国株が含まれている
S&P500は、米国大型株市場を代表する指数です。S&P Dow Jones Indicesの公式情報では、500社で構成され、米国株式市場の利用可能な時価総額のおよそ80%をカバーすると説明されています。
一方、オルカンにも米国企業が多く含まれています。オルカンとS&P500は、投資先が完全に別の商品ではありません。
2本持つと、米国への比率を意図的に上乗せすることになる
オルカンへS&P500を追加すると、商品数は増えます。しかし、S&P500の中身は米国株なので、オルカンだけの場合より資産全体の米国比率は高くなります。
| 持ち方 | 投資範囲の考え方 |
|---|---|
| オルカンだけ | 世界の株式市場の構成に沿って、米国を含む先進国・新興国へ投資する |
| オルカン+S&P500 | 全世界株式へ投資しつつ、米国大型株の比率を追加で高める |
| S&P500だけ | 米国大型株へ集中して投資する |
併用が間違いなのではありません。「米国へより多く投資したい」という意図があるなら、考え方としては一貫しています。
わたしは米国比率を追加で高めたいわけではないため、S&P500を併用していません。商品数を増やすことと、分散を増やすことは別だと考えています。
S&P500を否定しているわけではない
米国企業の競争力を評価し、米国へ集中するリスクを受け入れたうえでS&P500を選ぶ考え方もあります。
オルカンとS&P500の違いは、どちらが絶対に優れているかではなく、世界全体へ投資するか、米国へより集中するかです。将来のリターンは事前にはわからないため、過去の成績だけで正解を決めないようにしています。
「オルカンだけ」は資産全部を意味しない
わたしが「株式部分はオルカン中心」と話すと、資産のほとんどをオルカンへ投資しているように聞こえるかもしれません。しかし、実際には増やす資産と守る資産を分けています。

| 役割 | 使っている資産 | 目的 |
|---|---|---|
| 増やす資産 | オルカン | 長期の資産形成 |
| 守る円資産 | 普通預金 | 生活費やすぐに使うお金 |
| 守る円資産 | 個人向け国債 変動10年 | 当面使わないが、株式ほど大きな値動きを取りたくないお金 |
株式部分の商品を何本持つかより先に、資産全体のうち、どこまでを株式へ置くかを決めることが重要です。
金融庁の「資産形成の基本」でも、預貯金・株式・債券・投資信託は安全性、収益性、流動性が異なり、目的に応じて使い分けることが大切と説明されています。
わたしは、オルカンなどで増やす資産を持つ一方、守る円資産は普通預金と個人向け国債に分けています。商品を増やしすぎるより、役割がはっきりして管理しやすいと感じています。

オルカンの弱点も受け入れている
オルカンは投資先を広げやすい商品ですが、弱点がなくなるわけではありません。わたしは次の点を理解したうえで投資しています。
株式市場全体が下がれば大きく下落する
世界中へ投資していても、金融危機などで株式市場全体が下がれば、基準価額は大きく下落します。生活費や数年以内に使うお金まで投資すると、値下がり中に売却せざるを得なくなる可能性があります。
米国や一部の大企業の影響が大きい時期がある
全世界株式でも、国や企業の比率は均等ではありません。市場規模が大きい米国や、大型企業の値動きから強い影響を受けます。
「全世界だから特定国の影響をほとんど受けない」という商品ではない点には注意が必要です。
S&P500などにリターンで負ける期間もあり得る
米国株がほかの地域より強い期間は、S&P500がオルカンを上回る可能性があります。反対に、米国外の株式が強い期間は結果が変わることもあります。
わたしは、毎回最も上がる商品へ投資することはできないと考えています。一定期間ほかの商品に負けることも、世界へ広く投資する方針の一部として受け入れています。
世界分散は損失を防ぐ仕組みではない
分散投資は、特定の国や企業だけへ集中するリスクを抑えるための考え方です。元本を保証したり、短期の損失をなくしたりするものではありません。
オルカンへ投資するのは、当面使う予定がなく、値下がりしても長期運用を続けられるお金です。生活防衛資金や使う時期が決まっているお金は、別に確保します。
オルカンが向いている人・別の選択肢も検討したい人
| 考え方が合いやすい人 | 別の選択肢も検討したい人 |
|---|---|
| 国・地域の勝ち負けを予想したくない | 米国など特定の国へ意図的に集中したい |
| 日本を含む世界の株式へ広く投資したい | 自分で国・地域の比率を決めたい |
| 株式部分を1本で管理したい | 株式と債券を1本の商品へ含めたい |
| 一定期間ほかの指数に負けても方針を続けられる | 全世界株式の値動きを許容できない |
大切なのは、人気ランキングだけで選ばず、商品の投資範囲とリスクを理解することです。どの選択肢でも、生活資金と分け、許容できる値動きの範囲で投資します。
他の商品が気になったときの確認手順
オルカンへ投資していても、S&P500、NASDAQ100、高配当株、金など、ほかの商品が気になることはあります。
追加購入や乗り換えを決める前に、次の順番で確認します。
- 当初の投資目的や使う時期が変わったか
- 追加後の資産全体の配分はどう変わるか
- 同じ国・企業・値動きを重ねていないか
- 直近の上昇率や話題性だけで判断していないか
- 下落時にも新しい方針を続けられるか
コア・サテライト戦略を使う場合も、サテライトを資産全体へ別枠で足すのではなく、先に決めたアセットアロケーションの中で配分します。
動画でも解説しています

よくある質問
オルカンとS&P500はどちらがよい?
どちらがよいかは、投資したい範囲と、米国へどこまで集中したいかで変わります。
- オルカン:米国を含む先進国・新興国へ広く投資する
- S&P500:米国の代表的な大型株へ投資する
将来どちらのリターンが高くなるかは事前にはわかりません。投資範囲、集中度、コスト、自分が長く持ち続けられるかで判断します。
オルカンとS&P500を両方持つ意味はある?
米国株の比率をオルカン単独より高めたいなら、併用する意図はあります。ただし、米国企業が重複するため、商品数を増やすだけで分散が増えるわけではありません。
「どちらかを選びきれないから半分ずつ」でも、結果としてどの国へ何%投資するかが変わります。併用後の資産配分を確認して選びましょう。
S&P500のほうが上がっているときは乗り換える?
直近の値上がりだけでは乗り換えません。上がった後に買い替えると、次に強くなる地域が変わったとき、再び乗り換えたくなる可能性があります。
投資範囲、資産配分、使う時期など、最初に商品を選んだ前提が変わったかを確認します。前提が変わっていないなら、短期の順位だけで方針を変えないようにしています。
オルカン1本なら安全資産は不要?
オルカンは株式へ投資する商品なので、世界分散されていても大きく下落する可能性があります。生活費、近い将来の支出、値下がり時にも計画を続けるためのお金は別に考えます。
必要な安全資産の金額や比率は、収入の安定性、家族構成、FIREまでの年数、大型支出、値下がりへの耐性で変わります。

まとめ|最高の商品ではなく、続けやすい方針として選んでいる
わたしがオルカンを選んでいる理由は、次の4つです。
- 伸びる国を自分で当てにいかなくてよい
- 日本を含む世界の株式へ1本で広く投資できる
- 株式部分の管理をシンプルにしやすい
- 商品選びより、入金と継続へ集中しやすい
S&P500を併用していないのは、米国株を否定しているからではありません。オルカンにも米国株が含まれており、米国比率を意図的に上乗せする必要を感じていないからです。
一方で、資産全体をオルカンだけにしているわけではありません。増やす資産はオルカン、守る円資産は普通預金と個人向け国債に分けています。
オルカンが将来最も高いリターンになる保証はありません。それでも、投資範囲を理解し、管理をシンプルにして長く続けやすいことが、わたしにとって選ぶ理由になっています。
更新履歴
- 2026年8月14日:初稿作成
