投資に回さないお金を普通預金へ置いたままにして、「このままでいいのかな?」と感じることはないでしょうか。
結論からいうと、すぐ使うお金は普通預金、1年以上使わない円の安全資産は個人向け国債と、使う時期で分けると考えやすくなります。
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券です。なかでも「変動10年」は半年ごとに金利が見直され、発行から1年経過後は原則として1万円単位で中途換金できます。
- 個人向け国債の基本的な仕組み
- 変動10年・固定5年・固定3年の違い
- メリット・デメリットと中途換金の注意点
- 普通預金との使い分け方
- 最新金利の見方と購入方法
- 株式や投資信託とは別に、値動きを抑えた円資産を持ちたい方
- 普通預金に置いているお金の一部を見直したい方
- 個人向け国債の変動10年を買うべきか迷っている方
動画で個人向け国債と安全資産の考え方を確認
動画では、「投資しないお金をどこに置くか」をテーマに、普通預金と個人向け国債の役割をコンパクトに解説しています。
結論|すぐ使うお金は普通預金、1年以上使わないお金は個人向け国債
安全資産は、金利だけで置き場所を決めるのではなく、いつ使う可能性があるかで分けるのがおすすめです。
- 1年以内に使う可能性があるお金:普通預金
- 1年以上使わず、値動きを避けたい円資産:個人向け国債
- 長期間使わず、値動きを受け入れて増やしたいお金:株式・投資信託など

個人向け国債は安全資産の有力な候補ですが、発行から1年間は原則として中途換金できません。生活防衛資金の全部を移すのではなく、普通預金を残したうえで使うのがポイントです。
個人向け国債とは?国が発行する個人専用の債券
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券です。購入者が国へお金を貸し、その対価として半年ごとに利子を受け取り、満期になると額面金額が戻ります。
財務省によると、主な特徴は次のとおりです。
- 変動10年・固定5年・固定3年の3種類
- 毎月発行
- 最低1万円から1万円単位で購入
- 利子は半年ごとに年2回受け取る
- 発行から1年経過後は原則として中途換金可能
証券会社、銀行、郵便局などの取扱金融機関で購入できます。購入時の手数料はかかりませんが、金融機関によっては口座の開設や維持に手数料がかかる場合があります。
個人向け国債は3種類|変動10年・固定5年・固定3年を比較
| 種類 | 満期 | 金利 | 金利の決まり方 | 中途換金 |
|---|---|---|---|---|
| 変動10年 | 10年 | 半年ごとに変動 | 基準金利×0.66 | 発行1年後から原則可能 |
| 固定5年 | 5年 | 満期まで固定 | 基準金利-0.05% | 発行1年後から原則可能 |
| 固定3年 | 3年 | 満期まで固定 | 基準金利-0.03% | 発行1年後から原則可能 |
金利が上がったときに受取利子が増える可能性を残したいなら変動10年、購入時点の利率を満期まで固定したいなら固定5年・固定3年が候補です。
変動10年が常に最も高金利になるわけではありません。実際に2026年7月募集分では、固定5年の年1.95%が、変動10年の初回年1.80%を上回っていました。購入時は3種類の最新利率と、今後の金利変動をどう考えるかを分けて確認しましょう。
迷ったら変動10年を中心に考えやすい4つの理由
半年ごとに金利が見直される
変動10年の適用利率は、実勢金利に応じて半年ごとに見直されます。市場金利が上がれば、受取利子が増える可能性があります。
一方で、市場金利が下がれば適用利率も下がる可能性があります。現在の利率を長く固定したい場合は、固定5年や固定3年も比較対象です。
最低金利が年0.05%に設定されている
変動10年を含む3種類には、年0.05%の最低金利が設定されています。市場金利が大きく下がった場合でも、適用利率が年0.05%を下回ることはありません。
10年満期でも発行1年後から中途換金できる
「変動10年」という名前でも、10年間ずっと引き出せないわけではありません。発行から1年が経過すれば、原則として1万円単位で一部または全部を中途換金できます。
満期と中途換金のどちらも額面金額が基本
一般的な債券は、市場で途中売却すると価格変動により元本割れすることがあります。個人向け国債は国による中途換金の仕組みがあり、償還金額は額面100円につき100円です。
発行1年後に中途換金する場合、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。おおむね直近1年分の税引後利息を返すイメージです。

個人向け国債のメリット
- 元本保証:満期時はもちろん、発行から1年後の中途換金でも元本割れしません。ただし、中途換金時は直前2回分の各利子相当額をもとにした調整額が差し引かれます。
- 普通預金より高い利率になる時期がある:すぐ使わない円資産にも利息を受け取る選択肢ができます。
- 1万円から始められる:安全資産の一部だけを移す使い方がしやすい商品です。
- 株式や投資信託と役割を分けやすい:増やすお金と守るお金を分けて管理できます。
- 変動10年は金利上昇にある程度追随する:半年ごとの見直しにより、市場金利が上がった場合は受取利子が増える可能性があります。
個人向け国債のデメリット・注意点
発行から1年間は原則として中途換金できない
購入を申し込んだ日ではなく、発行日から1年間は原則として中途換金できません。近いうちに使う予定があるお金や、急な出費に備えるお金には向きません。
中途換金すると直近の利子相当額が差し引かれる
発行から1年後に換金できても、受け取った利子をすべて残せるとは限りません。短期間で換金する可能性が高いなら、金利だけを見て普通預金から移さない方がよいでしょう。
株式のような大きな値上がり益は期待しにくい
個人向け国債は、資産を大きく増やすための商品ではありません。株式や投資信託の代わりではなく、値動きを抑えたい円の安全資産として考えます。
インフレに負ける可能性がある
元本が保証されていても、物価上昇率が国債の利率を上回れば、お金の実質的な価値は下がります。「額面の元本が保証されること」と「購買力が維持されること」は別です。
日本国の信用リスクはあるが、過度に気にする必要はない
個人向け国債は、日本国が元本と利子の支払いを行う商品です。そのため、理論上は日本国が支払い不能になる信用リスクがあります。
ただし、日本国が個人向け国債の元本や利子を支払えないほどの事態になれば、金融市場や通貨、社会インフラにも大きな混乱が起こり、これまでどおりの生活を送ること自体が難しくなっている可能性が高いでしょう。わたしは、安全資産の置き場所を考えるうえで、この極端なリスクを過度に気にする必要はないと考えています。
普通預金は銀行にお金を預ける商品ですが、個人向け国債は日本国に直接お金を貸す商品です。わたしは、個別の銀行が破綻するリスクよりも、日本国そのものが支払い不能になるリスクの方がはるかに小さく、個人向け国債の方が安全性は高いと考えています。
普通預金と個人向け国債はどう使い分ける?
| 置き場所 | 向いているお金 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 普通預金 | 生活費、クレカ引き落とし、急な出費、1年以内に使う予定資金 | すぐ使える。利息の付く普通預金は預金保険制度の対象 |
| 個人向け国債 | 1年以上使わず、値動きを避けたい円資産 | 発行1年後から原則中途換金可能。中途換金調整額あり |
| 株式・投資信託 | 長期間使わず、値動きを受け入れて増やしたいお金 | 元本保証はなく、価格が上下する |
ただし、銀行預金が危険という意味ではありません。利息の付く普通預金は、金融機関が破綻した場合でも、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が預金保険制度で保護されます。1,000万円以内の普通預金については、銀行が破綻しただけで直ちに失われるわけではありません。
安全資産300万円の分け方を具体例で確認
たとえば、安全資産が300万円、毎月の生活費が25万円の家計を考えます。
- 普通預金150万円:25万円×6か月分。生活費や急な出費に備える
- 個人向け国債150万円:1年以上使わない守りのお金として検討する
これは正解を示す配分ではなく、考え方の一例です。子育て中、自営業、転職予定がある方、住宅や車の修繕予定がある方は、普通預金を厚めにしてもよいでしょう。
わたしは、オルカンなどで増やす資産を持つ一方、守る円資産は普通預金と個人向け国債に分けています。商品を増やしすぎるより、役割がはっきりして管理しやすいと感じています。
個人向け国債の最新金利と利息の目安
2026年8月4日時点で直近の確定値は、2026年7月募集分です。
| 種類 | 税引前年利率 | 税引後年利率 |
|---|---|---|
| 変動10年 | 1.80% | 1.4343300% |
| 固定5年 | 1.95% | 1.5538575% |
| 固定3年 | 1.56% | 1.2430860% |
個人向け国債の利子には、受取時に原則20.315%の税金がかかります。変動10年の初回税引後年利率1.4343300%が1年間続いたと仮定すると、利息の単純計算は次のとおりです。
| 購入額 | 1年間の税引後利息の目安 |
|---|---|
| 100万円 | 約14,343円 |
| 300万円 | 約43,030円 |
| 500万円 | 約71,717円 |
変動10年の利率は半年ごとに見直されます。上の表は初回利率が1年間続くと仮定した単純計算で、実際の受取額は適用利率や端数処理などにより異なる場合があります。
上記は2026年7月募集分を使った参考例です。募集月によって利率は変わるため、実際に購入するときは財務省の最新募集情報を確認してください。
個人向け国債の買い方
- 取扱金融機関を選ぶ:証券会社、銀行、郵便局などから選びます。
- 必要な口座を開設する:初めて購入する場合は、証券口座や国債の振替口座などを用意します。
- 募集期間と最新利率を確認する:個人向け国債は毎月募集されます。
- 種類と購入額を決める:変動10年・固定5年・固定3年から選び、1万円単位で申し込みます。
- 発行日を確認する:原則1年間の中途換金制限は発行日から数えます。
取扱商品、申込方法、募集締切、口座管理手数料などは金融機関によって異なる場合があります。普段使っている証券会社や銀行で個人向け国債を扱っているか確認すると始めやすいでしょう。
個人向け国債が向いている人・向いていない人
向いている人
- 1年以上使わない円資産がある
- 元本の値動きをできるだけ抑えたい
- 株式中心の資産配分に守りの資産を加えたい
- 普通預金より高い利息を受け取れる選択肢を探している
向いていない人
- 1年以内に使う可能性がある
- 短期間で大きく増やしたい
- インフレ率を上回る高いリターンを最優先したい
個人向け国債についてよくある質問
変動10年は10年間引き出せませんか?
10年間引き出せないわけではありません。発行から1年が経過すれば、原則として1万円単位で一部または全部を中途換金できます。
中途換金すると元本割れしますか?
中途換金時も額面100円につき100円が基本ですが、直前2回分の各利子相当額をもとにした中途換金調整額が差し引かれます。額面金額と、実際に受け取る換金額の計算を分けて確認してください。
変動10年と固定5年・固定3年はどれがよいですか?
今後の金利上昇への追随を重視するなら変動10年、購入時の利率を満期まで固定したいなら固定5年・固定3年が候補です。最新利率も比較し、固定型が常に不利、変動型が常に有利とは考えないようにします。
生活防衛資金を全部入れてもよいですか?
おすすめしません。発行から1年間は原則として中途換金できないため、生活費や急な出費に備える普通預金を残し、1年以上使わない部分だけを候補にします。
個人向け国債はNISAで買えますか?
個人向け国債はNISAの対象外です。NISAは上場株式や一定の投資信託などを対象とする制度で、個人向け国債の利子には受取時に原則20.315%の税金がかかります。
まとめ|安全資産は使う時期で置き場所を分けよう
- すぐ使うお金は普通預金に置く
- 1年以上使わない円の安全資産は個人向け国債も候補にする
- 変動10年は半年ごとに金利が見直される
- 発行1年後から中途換金できるが、調整額が差し引かれる
- 生活防衛資金の全部を国債へ移さない
わたしは、増やすお金と守るお金を分けたうえで、守る円資産も普通預金と個人向け国債に整理しています。金利の高さだけでなく、使う時期と中途換金条件を確認し、自分の家計に合う割合を考えてみてください。
おすすめサービス
個人向け国債のほかにも、わたしが資産形成や家計管理で実際に使っているサービスをまとめています。

更新履歴
- 2026年8月4日:記事初稿を作成
本記事は2026年8月4日時点の情報をもとに作成しています。個人向け国債の利率、募集期間、取扱条件は変更される可能性があります。購入前に必ず財務省と取扱金融機関の公式情報をご確認ください。
